多国籍の食体験をカウンター越しに届けるシェフの一皿
フレンチの技術を土台に、アジアや中東、ヨーロッパ各地で得たインスピレーションを一皿に落とし込む。nuiのシェフは世界各国を旅してきた経歴の持ち主で、現地で出会った調理法や食材の組み合わせを阿佐ヶ谷の厨房で再構築している。中東風モツ煮込み、レモングラスの香りをまとわせた白イカの姿煮など、メニュー表を眺めるだけで行き先不明の旅に誘われるような構成になっている。仕込みから仕上げまで手を抜かず、旬の素材を使って毎回少しずつ表情が変わる料理を出している。
個人的には、どの皿にも「ここでしか食べられない」という匂いがあるのが印象的だった。既存の多国籍料理店とは違い、フレンチの骨格がしっかりしているから味の着地点がぶれない。ハーフサイズでの提供もあるため、一人でカウンターに座りながら3〜4品を少しずつ試す使い方をする常連も多いようだ。次に来たとき何が出てくるか分からない期待感が、再訪の動機になっている。
ワインからハブ酒まで揃う酒棚の奥行き
カールスバーグやクラフトビール各種に始まり、焼酎、クラフトジン、ハブ酒と、棚を見渡すだけで飲み手の好奇心を刺激するラインナップが並ぶ。赤・白・スパークリングと揃えたワインは産地や味わいの幅を意識してセレクトされており、料理のジャンルに応じた組み合わせをスタッフに相談できる。スパイスを効かせたカクテルなど、多国籍メニューとの相性を前提に設計されたドリンクも用意されている。思いがけないペアリングに出会えたという声が目立つ。
記念日やデートなど特別な場面では、ドン・ペリニョンやKRUGといったシャンパンの注文にも対応している。普段使いのクラフトビールから高級シャンパンまで同じカウンターで出てくる振り幅は、このサイズの店舗としてはかなり珍しい。価格帯も一杯数百円台のビールからボトルのシャンパンまで段階があるため、その日の気分と予算で自由に選べる。料理とドリンクの掛け合わせを毎回変えて通うリピーターもいるらしい。
阿佐ヶ谷駅徒歩2分、裏路地に灯るカウンター12席の距離感
木のぬくもりを感じるカウンター12席とテーブル席最大16席で構成された店内は、照明を落としたモダンな空間に仕上がっている。阿佐ヶ谷駅北口から徒歩約2分、裏路地にひっそり佇む外観からは想像しにくいほど中は開放的で清潔感がある。カウンター席ではシェフとの距離が近く、調理の音や香りがダイレクトに届く臨場感を楽しめる。一人飲みでふらっと立ち寄っても居心地がいいと感じる利用者も多い。
女子会や誕生日、貸切利用など目的に応じてテーブル席の配置を調整してくれる。記念日にはメッセージプレートの手配やサプライズの相談にも乗ってもらえるため、事前に電話で伝えておくとスムーズだ。退店時まで気さくな声かけが続く接客スタイルで、初来店でも常連のような気楽さで過ごせる空気がある。
深夜2時まで開いている阿佐ヶ谷の食卓
水曜から日曜は深夜2時まで営業し、ラストオーダーは1時。月曜のみ0時閉店で、火曜が定休日という営業スケジュールになっている。終電を逃した後でも煮込み料理や季節のカルパッチョ、スパイシーチキンサラダといった冷菜をしっかり食べられるのは、このエリアでは貴重な選択肢だろう。深夜帯でも料理のクオリティが落ちないという声が口コミで散見される。
予約なしでもタイミングが合えば入れる場合があり、仕事帰りにふと思い立って寄るような使い方にも向いている。nuiは敷居の高さを感じさせないカジュアルなバルとして、一人客から大人数の集まりまで受け入れている。手頃な価格帯で多国籍料理と多彩な酒を深夜まで楽しめる店は、阿佐ヶ谷界隈を探してもそう多くはない。


