スペシャルティコーヒーと紅茶へのまなざし
SCAJ評価基準で国際評価80点以上を獲得した豆だけを取り扱い、日ごとに変わる豆のコンディションを見極めながら抽出の温度や時間を微調整している。1杯のなかで香り、酸味、余韻が移り変わっていく感覚は、飲み慣れた人ほど驚くはずだ。COFFEE N’ DINING SPACE CLOCHETTE クロシェットでは、この品質を日常的に届けたいという考えから、スペシャルティコーヒーとしては手に取りやすい価格帯を維持している。コーヒー好きだけでなく、これから興味を持つ人にも間口を開いた設計になっている。
紅茶にもコーヒー専門店ならではの視点が反映されており、オーガニックのダージリンやアッサムなど単一茶園の茶葉を仕入れている。個人的には、コーヒー店でここまで紅茶に本腰を入れている例はあまり記憶にないので印象的だった。デザートとの相性を考慮したペアリングの提案もあり、食後の一杯として紅茶を選ぶ常連も少なくないという。コーヒーか紅茶か、その日の気分で迷える店というのは案外貴重だ。
放出駅徒歩約4分、静けさのある空間
放出駅から歩いて約4分。駅前の喧噪を抜けた先に、落ち着いたトーンの内装が迎えてくれる。オーナーがデザイナーとともに設計した店内は、照明の色温度から座席の間隔まで細かく計算されている。読書に集中する人と会話を楽しむ人が自然に共存できるよう、席ごとの距離感に工夫が施されている。
「一人でふらっと入れる空気がある」という声が口コミで目立つ。仕事の休憩に15分だけ立ち寄る人もいれば、2時間近く本を読みながら過ごす人もいて、滞在の長さを気にしなくていい空気感が根づいている。年中無休で朝8時から夜20時まで開いているため、曜日や時間帯を選ばずに使えるのも通いやすさにつながっているようだ。
ホールスパイスから組み立てるカレーと自家製パン
スパイスカレーの仕込みは、カルダモンやクミンといったホールスパイスの選定と配合から始まる。辛さで押すのではなく、重なり合う風味の奥行きで食べさせるタイプで、素材の状態を見ながらスタッフがその日ごとに微調整を重ねて一皿を完成させる。トーストに使う食パンも店内で焼き上げており、外はしっかり、中はふわっとした焼き上がりが既製品とは明らかに異なる。ランチにはフォカッチャサンドやクロックムッシュも並び、食事目的での来店にも十分応えてくれる。
たとえば平日の昼に訪れると、近隣で働く人たちがカレーとコーヒーのセットを手早く済ませている場面に出くわす。一方で休日にはモーニングの自家製トーストをゆっくり楽しむ家族連れの姿もある。デザートメニューも幅広く、コーヒークランブルを重ねたチーズケーキや純正生クリームのガトーショコラ、スペシャルティコーヒーを使ったゼリーなど、甘いものだけで迷う時間が生まれる。
ドリップバッグやグラノーラで店の味を持ち帰る
一部メニューのテイクアウトに加え、オリジナルのドリップバッグやグラノーラといった物販商品を展開している。ドリップバッグは忙しい朝でもスペシャルティコーヒーの風味をそのまま再現できるよう設計されており、贈り物として購入する来店客も多いと聞く。グラノーラは朝食にもおやつにも取り入れやすく、店で過ごした時間の延長を自宅で感じられるアイテムになっている。COFFEE N’ DINING SPACE CLOCHETTE クロシェットの味を日常に組み込む選択肢が複数用意されている点は、リピーターの定着に一役買っている。
「ドリップバッグをもらったのがきっかけで来店した」という感想を寄せる人もいるようで、物販が新規来店のきっかけとして機能しているケースがある。地元の常連だけでなく、ギフトを受け取った遠方の人が足を運ぶ流れも生まれつつあるという。地域との接点を営業時間や店内体験だけに限定せず、商品を通じて広げていく姿勢が見て取れる。


